蘭越の落水荘 (2004/7/26着工)
Falling Water in RANKOSHI
No.J24
住  宅
2004年
磯谷郡蘭越町
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工事写真

建築種別

住宅

構造/規模

木造/1F

所在地

磯谷郡蘭越町

延床面積

住宅(54.36 m2)、倉庫(2.73 m2)

コメント

 18坪の小さな小屋に「落水荘」とは、F.L.ライトのファンに叱られそうだが、敷地の中に小川があってそれを生かした設計を、と狙いを定めたところで誇大妄想的にまずは落水荘を標榜してみた。

この名作は私にとって建築家を目指すきっかけでもあるから恐れ多いのだが、詳細に調べてみると、大恐慌の後にライトが打ち出したユーソニアン住宅の豪華版であることに今更になって気がついた。合理性・経済性を追求したユーソニアンの設計思想は私がいまなお考え続けてる様なことを、とうの昔に遥かなレベルでやりつくしていたことも教えられた。目に見える引用はバルコニー部分の、上に向かってせり出す下見板の貼り方(ラップドボードとライトが名付けた手法)のみであるが、全体を覆う思想はユーソニアンだと思っている。

道産カラマツを使い外側断熱できっちり断熱し、深夜電力蓄熱床暖房(ライトの言うグラビティヒーティング)を施したのは、一般住宅並みの性能を求めたからである。わずかな利用経験から寒冷地の別荘利用は大変である事を知っているから。
完璧に冷え切った室内はどんなにストーブを炊き続けてもその夜はアルコールで暖を補いつつ、これまた冷え切った寝具にもぐりこむほかない。ようやく普通に温まったところで、帰途のために入念な空家作業に入らねばならない。ことごとく水を抜いて水道管破裂を避ける作業である。なんだかこれでは非日常的な開放感を楽しむのでは無く、非日常的家事作業に追われるばかりになってしまう。いつもの住宅のように水落しとは無縁に使えるように、シーズンを通して安価な深夜電力で最低限の室温(15℃くらい)を保ち続けることが良い、と判断した。お楽しみの暖炉に火が入って程よい状態になる、との環境計画である。

備考
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